センスと理詰め

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Webデザインに”デザインセンス”は必要か? という記事が興味深かったので、全然違う話になりますが Web デザインに限らず自分が思うことをまとめておきます。

センスと理論

昔カリスマ美容師が流行ったときにテレビで見た、クマさんみたいなチャラくない美容師さんとモデルさんのやりとりにこんなクダリがありました。

モデルさん「あのさ、ここ来るといっつもこっちだけ何故か長くされるんだけどどうして?」
クマさん 「あ、ホントだ。なんでだろ、でもそうじゃないとキマらなくない?」
モデルさん「そうなのよねー。他の人だとこうはならないのよね、すごいなぁ。」

みたいな。

クマさんは学校で学び習得した理論から、この女優の頭の形や髪の生え方・クセを計算して、髪の長さやカットの仕方を導き出しているわけではないんですね多分。もちろんそういうような理論はある気がしますが、それにハマっていないから彼にしかできないわけで、そらもうただ「なんとなく」なんていう理由なわけです。

ただしその「なんとなく」には理由があって、自分が一番シックリくることなんだと思います。それがその人のセンスであり、自分の脳内に快感物質が分泌されまくる方向です。多くの人がそのアウトプットをいいね!と感じるならセンスが良いということになるのでしょう。

このクマさんのカットの仕方を解析してみると、実に美しく理論的にまとめられるに違いありません。そして、その理論を習得した人はクマさんと同じようなカットができることでしょう。できない場合は、それは器用さとかスキルの限界なのかもしれません、ごめんなさい。

インプットを増やそう

ステキな曲を作り人々を感動させるアノ人だって、もしかしたら楽譜を読めないかもしれない。YOUNG GUITAR の表紙を飾る彼なんて、もしかしたらタブ譜しか読めないかもしれない。でも理論を学べば、表現が広がり生み出す力がもっと豊かになるでしょう。例えベタにも程がありますが、自分の力だけで何もかもを生み出すことはできません。より良いより多くのアウトプットができるように、多くを学びたいですね。

もちろん、理論として完成されたものを学ぶだけでなく、普段から良いものに触れておくことも大切だと思います。元ネタのブログにある「様々なWebデザインを見て引き出しを増やしておく」ことがそれですね。誰かが体系的にまとめていなくても、私達の脳はインプットすればするほど、それらをゴニョゴニョして自分の創造力にしてくれます。そしてその創造力やアウトプットの「程度」が「センス」なのかな、と思います。

分解能を上げよう

例えば、この画像:

大差はないかもしれませんが、右側は色々やりすぎに感じます。いやぁ、そんなん好みちゃうのん?って話かもしれませんが、ここで言いたいのは「この左右の違いを認識していて自分で描くときにどの程度が最適かを繊細に調整できるかどうか」ということです。「文字の上側にドロップシャドウを入れて型押しの効果を出す」ときに右の画像しか出てこないと、まだまだインプットが足りないかもしれません。

そしてインプットは漫然と「すげーなー」とか「ステキだなー」と眺めるだけではなくて、サイズや濃淡、距離など何故良いと感じるのかを細かく認識するようにすると良いでしょう。この認識の分解能の高さを上げることが、自分のセンスを鍛え、結果としてアウトプットのクオリティの高さにつながるような気がします。
この画像の差が「Web サイトの効果」にどれだけ影響するかは謎ですが、Web デザイナーと名乗るなら意識しておくと何かと良いかもしれませんね。

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